「あっ、あそこ!」
女が叫んだ。指をさす先に居たのは——スイクン。先程見かけた、青いポケモン。エンジュへ向かうゲートの近くを、飛び跳ねている。
「追うか」
「はい!」
女の目にまた闘志が燃えている。急いで塔を降りて、ゲートへ向かった。エンジュの時のように、スイクンに気づいてる者は居ないようだ。ゲートに近づくにつれ、風が強くなってきた。やけに冷たい風だ。
「いない……」
「街には居なかった。居るとしたら、この先だろう」
「うん」
女がこくりと頷く。ゲートを抜けた。例の、道の狭い道路だ。風が、さらに強く吹きつける。先程より、更に冷たい。道路の奥から吹いてくるようだ。氷ポケモンの群れでも居るかのようだ。
「……居る。雰囲気で、もう分かるよ。さっき通った道路と違うもの」
女が、そう呟いた。
狭い道路を、エンジュの方向に曲がった。草むらが見える。そこに、奴は居た。
……スイクン。我々が来るのが分かっていたかのように、こちらを真っ直ぐに見据えている。エンジュの時はよく見れなかったが、気品がある。神々しさを纏った、美しいポケモンだ。吹きつける冷たい風は、ますます強くなった。きっと、こいつの仕業だろう。
「ゲンガー! くろいまなざし」
女の行動は冷静で、早かった。ゲンガーが飛び出し、技を放つ。相手の動きを制限する技だ。これで、スイクンは遠くへは逃げられない。
スイクンは構えると、虹色の光線を放ってきた。オーロラビーム。ゲンガーに命中したが、ゲンガーはまだ余裕がありそうだ。
~ 6 ~