風呂から上がり、すぐに布団に押し倒したくなる衝動を抑えて、煙草に火をつけた。女は髪を乾かしている。浴衣が、よく似合っている。
良い1日だった。女と旅をする事が、幸福なものに思えた。別の女と出かけた事も何度かあるが、今日ほど楽しくなかったように思える。無垢で、純粋なのが、良い。決して、嘘をつかないのが良い。従順で、うるさくない。バトルは強い。仕事はこなす。夜は、よく乱れる。それも、また良い。いい女だ。これから、自分の傍らに置く事で、どんな色に染まっていくのかも楽しみだ。
……自分は、些か溺れているのかもしれない。心地の良さに、抗えないでいる。運命。自分でも、良くそんな言葉を使ったものだ。ずっと、彼女が自分のものになるのを待っていたような気さえする。渇いた大地が、雨を欲するように。
ドライヤーの音が止んだ。煙草を、灰皿に押しつける。
「……今日は、疲れただろう。もう、休もうか」
「はい」
布団に入り、明かりを落とした。すると、女はもぞもぞと布団の中を動き、こちらに向かってきた。首に腕を回し、抱きついてくる。
「どうした。随分と、積極的だな」
「うん……嬉しくて。気持ちが、止められない」
身体が、重なり合う。女はまた、唇を寄せてくる。触れるだけのキス。抱きしめた。女の早い鼓動が、聞こえる。
「……今日は、キミの好きにしてみなさい。何をされても、受け止めよう」
「はい」
女は起き上がると、浴衣と下着を脱いだ。細い裸体が露わになる。再び、抱きついてきた。そして唇を、寄せてくる。今度は、舌が入ってきた。拙い様子ではあったが、懸命に舌を動かしていた。こちらも、舌を出す。絡め合った。女の身体が震える。
唇が、離れた。糸を引いている。女はそれを舐めとると、浴衣を脱がそうと、手をかけてきた。
「いい。少し待っていろ」
起き上がり、浴衣と下着を脱いだ。避妊具を荷物から取り出して、枕元に置いた。
また、布団に戻る。女が、股座に顔をうずめて来た。舌の感触がする。既に固くなっている自身を、女が舐めている。口に、含まれた。暖かい。女は緩急をつけながら、唇で吸い付いてくる。
「良いぞ。少し、上達したな」
女は尚も、舌を絡めてきた。ぴちゃ、ちゅく、と音が響く。先の方を舐められると、気持ちが良かった。
「……」
女が、跨って来た。
更に固さを増したそれを、女は手で押さえ、避妊具を付けた。手で握り、女の濡れそぼった秘部に導く。
「……ッ」
「あっ……!」
女が声を上げる。
挿入。この対位だと、いつもより深いところまで入る。快感が一気に押し寄せて来た。
「はぁ、……んっ、あぁ……」
女が、感じながらも腰を動かす。悪くない。自分の上で乱れながら腰を振るその姿を、淫らだと思いながら、同時に健気さを感じた。
「動くぞ。いいか」
「は、いっ……!」
下から突き上げる。女は仰け反って喘いだ。
「あっ、ああっ、良いです、奥、奥まで……」
続ける。ぱんっ、と腰を打ちつける音が鳴る。女はすっかり蕩けきった顔だ。
「ごめんなさっ……気持ち良くて……もうイっちゃう……」
「謝ることはない。好きな時にイけ」
「はい……!」
女の膣内が、びくびくと震えるように締まった。……絶頂したようだ。肩で息をしながら、胸の上に倒れてきた。
「もう……ダメ……結局、動いてもらっちゃったし……」
「初めてだったからな。なかなか、良かったぞ。また気が向いたら、上になってくれ」
「はい……」
「では、交代といこうか」
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