盲目の忠犬

鐘屋横丁

     

 少し、キツい事を言ったか。思ったが、少女の目は変わらない。手を、優しく握ってくる。彼女なりの返答だ。
「少し、待て」
 自分も服を脱ぐ。少女はその様子を微笑みながら眺めていた。

「ああっ……!」
 ぴちゃ、と音がする。左耳を、舐められている。甘噛みされると、身体がびくっとなってしまった。恥ずかしい。自分の心臓の、早い鼓動が聞こえる。きっと、耳まで真っ赤だ。
「耳でも、ずいぶん感じているようだな。
 次は声だけでイけるよう、躾けてやろうか?」
「……っ!」
 耳元で囁かれるたびに、ぞくぞくと快感が走る。前に倒れ込みそうになると、そこには腕があった。いつの間にか、後ろから抱きかかえられている。
 舌が、這ってくる。耳から離れて、うなじを通って、背中をゆっくりと、降りてくる。最初は、くすぐったいだけだった。でもすぐに、快感に変わる。
 ……ああ、いつもそうだ。いろんな場所を責められて、自分でも知らない場所で感じてしまう。このままずっと一緒に居たら、とてもいやらしい身体になってしまうんじゃないか。そう思うとまたゾクゾクする。
「……」
 腕が、動いた。右腕で抱きかかえながら、空いた左手で胸を責められる。
「ああっ……ふ、あっ、……」
 胸はだめだ。気持ち良すぎて、いっぱい声が出てしまう。もう、弱いところを、散々知られてしまった。一番わたしが悦ぶ場所を、的確に責められる。それで、わたしの反応を見ながら、少し変化を入れてくる。それがまた気持ち良くて、快楽に、どろどろに、蕩けてしまう。
「はぁ……はあっ、……ああっ……」
 身体をよじっても、逃げ場はない。がっちりと抱きかかえられていて。ただ、よがっているサインを出してるだけ。左手がゆっくりと、太腿に触れてきた。
「股をこんなにも濡らして……まるで獣だな。
 すぐに入れてやるが、獣にはどんな体勢がふさわしいか?
 自分で考えろ」
「……はい」
 やっと、腕から解放された。身体がうまく動かない。それでもなんとか、四つん這いになれた。
「いい子だ」
 長い髪の毛を、少し引っ張られた。そうして、火照ったわたしのからだに入ってくる、あの人が。だめだ、気持ち良くて——
「……ごめんなさっ……イッちゃう……!」
 あたまが、真っ白になる——絶頂——
「いいぞ。好きなだけよがり狂え」
「ああっ……ああああっ……!!!」
 ……。
 入れられただけで、イッてしまった。身体がいつもより、敏感な気がする。見えていないからだろうか。
「もういいか。動くぞ。」
「はい……」
 腰が、動き始めた。イッたばかりなのに、また気持ちいい。頭がチカチカするような快感が、やってくる。
「いいか。どこにも、行くな。お前は、俺のものだ。
 行くと言うのなら、こうして、目を潰してやる。何処へも行けぬように」
 ——いつも、そうだ。
 繋がっている時、何かを、命じられる。それは甘く響いて、頭の中に突き刺さる。きっと、逆らえない。破れない。からだの芯まで、叩き込まれるから。
「はい……行かない、です……どこにも……ずっと、一緒に……」
「それでいい。お前は、好い——ああ、出すぞ」
「はい……!」


~ 7 ~