盲目の忠犬

鐘屋横丁

     

「——さて」
「……はい」
 お風呂を終えて、ベッドに入る。何度もしている事だけど、毎回どきどきしてしまう。今日は、どんな風にされちゃうのかな。乱れる自分を想像して、一人恥ずかしくなる。下半身が、熱を持つ。
「今日は少し、試したい事があるのだが、良いかな」
「えっ。わ、分かりました」
「無理強いはしない。嫌だったら、すぐに言ってくれ」
 そう言って、彼が取り出したのは——
 ……目隠し、だった。

「見えるか?」
「なにも、見えないです…」
 最初は光が隙間から入っていたけど、照明を暗くされてしまった。そうすると、何も見えない。声だけが頼りだ。
「……」
 黙られてしまった。今、どうなっているのだろう。裸を、じっくり見られているのだろうか。
「……」
 身体を、起こしてみた。気配を感じてみようとしたけど、出来なかった。どこか、部屋の遠いところに、行ってしまったのだろうか。
 ——少し心配になった時、それは唐突に始まった。
 ふっ。
「っ!!!」
 左耳に、息を軽く吹きかけられた。変な声が出そうになる。少し、後ろにいるみたいだ。やっと気配を感じることが出来て、ほっとした。でも、息をつく暇は、与えてくれなかった。
「ここだ。ここにいる。どんな気分だ?
 俺には見えているぞ。お前の裸が。すべて。
 ここもだ」
「!!!」
 突然、秘部を撫でられた。
「ほう、まだ何もしていないのに、もう濡れているのか。
 声だけで、感じているのか。いやらしい女だ。
 俺といる時は、いつもそうなのか? ん?」
 恥ずかしい。恥ずかしさで、心臓が張り裂けそうだ。


~ 6 ~