天使の寝顔

鐘屋横丁

     

 食事を済ませ、風呂場に行くと、豪華な作りの風呂にまた女の目は輝いた。昨日は狭い上にシャワーしか無い部屋だった。場所をもう少し考えてやるべきだった、と猛省した。
「ボスの愛人って凄いなあ……」
「いつまでも見てないで、入るぞ」
「あっ!お背中!お流しします!」
「うむ、悪くないぞ」
 椅子に腰掛けると、女がボディソープを泡立て、背中を洗う。
「ふふ、良いぞ。そのまま手で、全身洗ってもらおうか。」
「ぜ、全身……」
「そうだ。まだ恥ずかしいか?」
「う、ううん、大丈夫……」
 そう言いながら、股間を洗う手がやはりたどたどしい。可愛らしいものだ。
「どれ。今度は、俺が洗ってやる」
「えっ!そっちの方が……恥ずかしいかも……」
「可愛い奴だ」
 泡を手に取り、女の身体を丹念に洗ってやる。余す所なく。
「あっ……ぅん……んっ……」
 首筋。乳。秘部。感じるところに触れると、分かりやすく反応が返ってくる。
「どうした? まだ洗っているだけだぞ」
「やっ……も、もういいです!流して!」
「フッ」
 泡を、流してやる。それでも女はまだ恥ずかしそうにしていた。
 風呂に浸かった。
「こうして湯船に浸かるのは久しぶりだな。気持ちいい」
「いつもは、シャワーだけなの?」
「大体はアジトのあの部屋か、昨日の部屋に泊まり込みだからな……」
「そっか。ボスって忙しいんだね。なんだか、会社の社長さんみたい」
「きっと似たようなモノだろう」
「それで、リーダーもやってるから大変ね」
「ああ。だがどちらもなおざりには出来ん。自分で決めた道だからな」
「うん。それはとても、素敵なことだと思う」
「そうか」


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