「ムサシ……ああっムサシ!」
「コジロウ! コジロウ! イイの! イイのぉ!」
二人の交わりはどんどん激しさを増していく。
……他人がああやって交わっている姿を見たのは、初めてだ。男の人は——もしかしたら、サカキ様も——自分でする時なんかにいかがわしい映像を見たりするんだろうけど、私は見た事がない。
私は……する時は、いつだってあの大きな手に触れられて、優しく抱かれるのを思い出しながら……。とにかく、一切そういうものを使わないから。
「マトリ」
サカキ様がこちらを向いて、ソファの隣に立つ私の事を呼んだ。
「は、はい」
「こっちに来い。一緒に、座って眺めよう」
「はあ……」
ソファの隣に腰掛けた。呼ばれた理由は、すぐに分かった。サカキ様は私の左肩を抱き寄せて、顎を掴んだ。
「マトリ」
「はい……」
次に何をされるかは、分かっていた。目を閉じた。あの艶めいた唇が、私の唇に重なった。唇は、更に私を求める。何度も離れては重なってを繰り返して、そして舌が入ってくる。
「んっ…….」
サカキ様の舌は熱を持って、ゆっくり口の中に入ってくる。こちらがおずおずと舌を出すと、情熱的に絡めて下さる。激しさと優しさを合わせ持つこのキスに、いつも虜になる。
「はぁ……はぁ……」
「マトリ」
サカキ様が私の服のボタンに手をかける。画面の中では、ムサシがまたコジロウの名前を呼んでる。
「サ、サカキ様。ですが、通信が」
「構うものか。私の遊びに、付き合ってはくれないのか?」
「うぅ……」
「マトリ。美しいお前の姿を、今日も見せてくれ」
サカキ様の手は止まらない。口元に笑みを浮かべながら、私の服のボタンをどんどん外していく。……とても楽しそう。こうなってしまったら私には止められないし、サカキ様の"遊び"が早く終わる事と、画面の向こうのふたりがこちらに気づかない事を願うばかりだ。
「画面がそんなに気になるか? まだふたりの情事が見たいのか」
「い、いいえ! 全く!」
「なら、私の方を見るんだな」
「はい……」
顎をまた掴まれて、サカキ様の方へ向き直させられた。
服のボタンは全部外されてしまった。サカキ様は器用に、ブラのホックを外してずらす。
「あっ……! あ、あぁ……!」
指で、舌で胸を愛撫される。いつも気持ち良くて、声が抑えられない。これが向こうに筒抜けだと思うとゾッとする。お願い、気づかないで……。
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