君を愛するということ

鐘屋横丁

     

 
 ベッドの上に寝転がった。サカキは服を脱いでいる。
「ミュウツー。本当に、構わないんだな」
「ああ。興味がある。昨日女にしていた事を、私にしてくれ」
「ふむ……」
 裸になったサカキは部屋の照明を暗くし、私の隣に寝転んだ。
「……ミュウツー。お前は、私の大切なポケモンだ」
「どうした。突然」
「黙って聞け。ムード作りだ。女はこれが無いと股を開かない」
 サカキはフッ、と小さく笑った。
「別の話にするか。
 その昔、ポケモンと人間が交わっていたという神話は確かに残っている」
「そうなのか」
「ああ。何かの資料で読んだ事がある。昔の人間に出来て、我々に出来ない事は無いだろう」
「そうだな」
 サカキは私の頭を撫でた。眼差しが、いつもより優しい。
「後は……穴だな。お前のデータ上は性別不明なのは知っているが、性器はあるのか」
「……尾の、腹に近い部分に穴がある。生殖機能は私には無いが、名残りとしてあるのだと思う」
「痕跡器官か。ミュウに生殖機能は存在したと考えられている。今の身体に育つ過程で退化したのだろう。
 少し、触るぞ」
「ああ」
 サカキの手が、尾に触れてくる。やけに丁寧だ。少し、こそばゆい。
「もっと下……そう、そこだ」
「ふむ」
 サカキは自分の指を舐めて、穴のなかに指を一本だけ差し込んだ。
「! うぐっ……」
 身体を、感じた事のない刺激が走る。背筋がぞわりとした。
「痛いか」
「いや。平気だ」
「深そうだ。これなら、問題ない」
 サカキは、両の腕を私の首の後ろに回してきた。そして、腕に力を込めた。……抱きしめられている。煙草の匂いと、香水の匂いが香ってくる。肌と肌が触れ合うと、とても心地よい。ただ触れるだけなのに、こんな気持ちの良い行為だったのか。知らなかった。もっと触れたくて、サカキの腰の辺りに手を回して抱きしめた。
「……気持ちいい」


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