「美しい身体だ」
「ありがとうございます」
いつも、こうして褒めてくれる。悪い気はしないけど、一体何人の人に言ってるのかしら、とも思う。
「……」
優しくキスが降ってくる。額、頬、唇。首筋、鎖骨。
胸を優しく触れられる。右胸の先端を刺激されながら、左胸を舐められる。もう何回かしているから、弱い場所をしっかり理解されてるみたい。的確に責められると、声が出る。
「あっ……うぅん……」
「もっと鳴いても構わないぞ。お前の声は、可愛い」
「はい……」
低い声で優しく囁かれると、ぞくぞくと快感が走る。我慢しようと思っても、声が出てしまう。
「あんっ……ん……きもちいっ……」
大きな手が、長い舌が、器用に胸を刺激する。はぁはぁと、荒い呼吸になってしまう。抗えない快感が身体を走り抜ける。
サカキ様は、いつもこうだ。じっくり愛撫されるから、身体中がぐじょぐじょになってしまうような感覚になる。
「次は、こっちだな。もう触る必要もなさそうだが」
サカキ様が、秘所に指で触れてくる。もうすっかり濡れてしまっていて、恥ずかしい。
「どれ。味見をさせろ」
「やだ、だめです……!」
「脚を閉じるな。力を抜け」
「はい……っ」
サカキ様が秘所を指で広げて、舌で舐めてくる。ぴちゃ、くちゃと卑猥な水音が立つ。
恥ずかしさと気持ち良さで頭が回らない。さっきのお酒も残っているんだと思う。あーもう、何も考えられない……。
今度はあそこが、どろどろに蕩かされてしまう。サカキ様の唾液と自分の液体でぐっしょりと濡らされてしまった。
「派手に濡らしたな、ムサシ。はしたない女だ」
「うぅ……」
「さて、口で着けて貰おうか」
「はい……」
サカキ様がコンドームを手渡してくる。これをあたしに口で着けさせるのが、お気に入りみたい。最初は全然出来なかったけど、慣れね。
「失礼します」
口でコンドームの先を咥えて、サカキ様の大きなモノの先端に被せる。見るたびにびっくりするくらい大きい。そして、唇を使って根元までするするとコンドームを降ろして装着させる。……これからコレが自分の中に入ると思うと、ちょっと怖い。
再び、ベッドに寝転がった。いよいよだ……。
「うむ。上手くなったな。入れるぞ」
「はい……、っ!」
中に、アレが入ってきた。一突きされるだけで、奥の方まで届く。ぞくぞくと快感が押し寄せる。
「あっ……あっあっ……」
突かれる度に頭の中が真っ白になる。もっと、もっと欲しいと求めて、思わず抱きついてしまう。
「よしよし。いい子だ、ムサシ。欲しいものは、いくらでもやろう」
「はい……! もっといっぱい……! ください!」
ああ。あたしはなんて、浅ましい女なんだろう。それでいて、狡い女だ。身体はこんなに気持ちいいのに、心の中にはまだ別のひとがいる。
こんなに大きくない身体で、こんなに太くない指で、こんなに低くない声をしてるあんたの事が、頭から離れないよ……。
「……」
「分かるぞ、ムサシ。今、他の男のことを考えたな」
サカキ様が、にやりと笑った。背筋の凍る、あの笑いだ。
「!! それはっ……!」
「それでも構わん。寧ろ、興奮する。どんなに恋しい男がいようとも、今のお前は、私のものだ」
腰の動きが激しくなる。快楽に、また何も考えられなくなる。
「あぁっ……ひぁっ……」
「パートナーの色男か? 名は、コジロウだったな。覚えている。名前を呼んでも構わないぞ」
「……ジロ……コジロウ! コジロウ! あああああ!」
目を瞑って、夢中で名前を叫んだ。どんなに呼んだって、届かないのに。
「お前の淫らな姿を見せてやりたいな。今度はコジロウの目の前で犯してやろうか」
「ああっ……やめて……やめてください……コジロウ……コジロウ……見ないでぇ……」
「いいぞ、ムサシ。もっと呼べ。その分だけ私の、征服欲が刺激される」
涙が溢れる。でも、身体は言う事を聞かない。押し寄せる快楽に、昇りつめようとしている。
「も……ダメ……イッちゃう……コジロ……」
「良い。私も、間もなくだ」
「はぁ……はぁああん!」
「ぐっ……!」
——果てた。サカキ様も、果てたみたいだ。静かな部屋に、2人分の荒い呼吸が響く。
~ 4/5 ~