宇宙の果ては、暗闇

鐘屋横丁

     


 
 
 
 煙草の煙が、真っ直ぐ昇っていく。
「それで? コジロウとは、男女の仲ではないのか」
「ないです……」
「身体の関係も?」
「ないない! ないです」
「そうか。上手くいくといいな」
 サカキ様は、煙草を灰皿に押しつけた。
「明日も早い。私は寝る」
「おやすみなさい」
 やっと、電気が消えた。布団に潜り込む。
「……」
 涙が、こぼれ落ちる。……コジロウ。今日もまた、あんたじゃない人に抱かれてしまった。反応してしまう自分の身体が、嫌でたまらない。
 いつの日か、あんたと夜を越えられる時が来るのかしら。そんな夜なら、少しも怖くないのに。朝が来るのが嫌になるくらい、素晴らしい夜に違いないのに。
 涙が、止まらない。早く明日にならないかしら。明日になったら、いつもみたいにみんなで笑って過ごすの。早く、こんな悲しみなんかさっさと忘れて、心から大きな声で笑いたい。
 
 自分の服のポケットから瓶の蓋を出して、握りしめながら眠りについた。


~ 5/5 ~