夜の王

鐘屋横丁

     

「あっ……あっあっ…….だめっ……」
「ダメと言われて、止めると思ったか?」
「おかしく……なっちゃう……ああっ……」
「構わないさ。好きに鳴け」
 耳元で囁くと、その度にまたびくびくと身体を反応させている。耳も感じるのだろう。そのように躾けたから、当然ではあるが。
「はあっ……ああっ……おおきい……」
「そういうキミは、声がいつもより大きいな。誰か残っていたらどうするつもりなんだ?」
「あうっ……それは……」
「今度は、団員たちの前で犯してやろうか。あの鬼教官の淫らな姿だ。皆きっと喜ぶぞ」
「いやっ……恥ずかしい……」
「今更だな。それとも、順にまわすか? キミは、誰のものでも悦びそうだからな」
「そんなこと……! いやっ、ゆるして、ください……!」
 腰を動かしながら、言葉で責める。無論、女を誰にも渡すつもりはない。それでも、口に出すと興奮する。あらゆる手段を用いてこの女を辱めて、犯し尽くしたい。そんな欲望が止まらない。
「あぁ……またイっちゃう……ごめん、なさい……」
「ああ、俺もだ。共に……」
「はい……!」
 先に果てたのは女だった。膣がびくびくと動き、きつく締まる。搾り取られるような感覚だった。絶頂に身を任せ、避妊具の中に精を放った。

「……すっかり、遅くなってしまったな。すまなかった」
「いえ、平気です」
 女は服を着ながら、にこりと微笑んだ。先程までの妖艶な雰囲気はもう感じられない。
「腹が減っただろう。何か食べて、家まで送ろう」
「はい!」
 嬉しそうに答える。明るい女を見ていると、先程頭を掠めた後ろめたさが蘇ってくる。
「……、……」
「はい?」
 名前を呼ばれた女が返事をする。正面から、抱きしめた。手に力が入る。縋りつくような思いだった。自分は、やり過ぎてはいなかったか。嫌になっていないだろうか。
「……すまなかったな。悪い遊びに、付き合わせた。痛かっただろう」
「ううん。わたしも……その……よかったから」
「本当か?」
「本当。ただ、ずっと後ろ向いてたから、キスが出来なかったな。それが少し物足りない」
 そう言うと、女は抱きしめている手を振り解いて頬にキスをしてきた。
「……そうか。欲しいものは、言いなさい。いくらでも、キミにあげよう」


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