夜の王

鐘屋横丁

     

「はぁ……もう……こんなに大きい……」
 たまらない、とでも言いたげな吐息を漏らしながら、女はそれを口に含んでいく。優しく、ゆっくりと舌で刺激される。温かさが心地良い。しばし堪能した。
 女の頭を両手で押さえながら、椅子から立ち上がった。女は体勢を変えながらも、変わらず奉仕を続けている。右手で、女の髪を掴んだ。喉奥を突くように、女の頭を何度も力任せに動かす。
「んっ……んん……」
 苦しそうな声が漏れ聞こえる。苦しそうにしながらも、唇で吸いつくのを止めようとしない。その必死な様相は、欲望に取り憑かれているように感じるが、愛らしい健気さも感じる。どのみち、情欲をかき立てる事には変わりない。
「……後ろを向いて、机に手をつけ」
 口を犯す手を止めた。手を放すと女は口を離し、ゲホゲホと苦しそうに咳き込んでから、指示通りの体勢になった。
 背中も尻も、鞭で打った跡が赤く腫れ上がっていた。また、胸がどきりとする。自分は、取り返しのつかない事をしてしまったのではないか、という後ろめたさが一瞬頭を掠める。だが、それも互いの狂った欲望がぶつかるこの場では、風に舞う塵のようなものだ。
 手を伸ばし、女の秘所に触れた。もう十分過ぎるほどぐっしょりと湿っており、こぼれ落ちた愛液が太ももまで濡らしていた。
「裸に剥かれ、鞭で打たれて、頭を踏まれて。それで、こんなに濡らすとはな」
「……」
「どうやらキミには、素質があるようだな。とびきりの、変態だよ」
「……はい」
「言ってごらん。私はいやらしい変態ですと」
「はい……私は、いやらしい変態です……」
「いいぞ。次はねだってみせろ。うまく出来たら、ご褒美をやろう」
「はい……。お願いします……、お願いしますサカキ様……この変態の恥ずかしいカラダを、いっぱい犯してください」
 女がもじもじと身体をくねらせながら、言葉を紡ぐ。下半身が熱を持つ。脱いだ服のポケットから避妊具を取り出して、身につけた。
「よく出来たな。ご褒美だ」
「ああっ……!」
 女の膣内を奥まで一気に突き上げた。待ち侘びていた快感に、女が嬉しそうな声を上げる。膣が少し締まる感覚がした。
「どうした。嬉しさのあまり、イったのか」
「はい……すみません」
「たったのひと突きでイくとはな。淫乱か? そら、動くぞ」
 後ろから腰を打ちつける。女は大きな声をあげながら、押し寄せる快楽に耐えようとしている。


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