夜の王

鐘屋横丁

     

「う、あぁ……」
「どうした。まさか感じているのか」
「はい……」
「なんという事だ。キミがここまではしたない女だとは思わなかったよ」
「ごめんなさい……」
「俺の、名を呼べ」
「サカキ様」
 また、胸が熱くなる。征服欲が満たされていくのを感じる。
「いいぞ。許しを乞うんだ」
「許して、下さい……お願いします……」
「悪くない。続けろ」
「はしたない女で……すみません……お許しください……」
「キミは、後ろを向いたまま許しを乞うのかね?」
「……」
 女は、身体ごとこちらを向いた。床に座り込むと、手をついて頭を下げだした。
「お許しください、サカキ様……」
「ほう。いい眺めだ」
 女の顔は、興奮に満ちていた。この戯れを愉しんでいるのは、自分ひとりではないらしい。
 鞭を机の上に置いて、椅子に座り直した。下がったままの女の頭に右足を乗せて、踏みつけてやった。
「う、う……」
 女は更に頭を垂れ、床に突っ伏した。美しい栗色の髪の上で、ぐりぐりと靴を動かす。
「ちょうどいい足置き台だな」
「も……許してください……」
「おや? この足置き台は口を利くのか。よく出来ているな」
「……っ」
「冗談だ。俺も鬼ではない。どうして欲しい? 言ってみせろ」
 足を女の頭からどけた。女は顔を上げて、はあ、はあと荒い呼吸をした。
「抱いて……いえ、犯して下さい……もう、身体があつく……て」
「よくもそんな事が言えるな。キミには、恥ずかしさというものが無いのか。卑しい女だ」
「はい……その通りです……卑しい女です……」
 女は繰り返す。目の前の身体に触れずとも分かる。もう限界なのだろう。
「次の質問だ。何が欲しい? 行動で示してみろ。俺は一歩も動かない」
「……失礼します」
 女が右脚にしがみついてきた。愛おしそうに両腕で抱きかかえている。その後、もぞもぞと動き股座に顔を埋めた。荒い息遣いが聞こえる。
「あの、脱がしても……?」
「いい。好きにしなさい」
「ありがとうございます」
 女はベルトを解き、脱がし、下着も剥いだ。既にいきり立った自身が顕になる。


~ 4/7 ~