「ラプラス 戦闘不能 勝者 チャレンジャー」
観客の声が大きくなる。四天王は何をやっているんだ、という野次もあるでしょうが、大半はこの試合に対する純粋な賛美でしょう。この国の人達は、ポケモンバトルで楽しめればいい、のんき人達なのです。
「負けたわ……。やっとブーバーを倒したと思ったのに、クサイハナのソーラービームに耐えられなかった」
「にほんばれと、上手くコンボが決められてよかったです。ブーバーが落ちた時は焦りましたよ。さすが四天王、お強かったです」
カンナが微笑む。
「……ありがとう。あんたとはまた、何処かで会いたいものね」
「その時は、また恋バナでも致しましょう」
「いいわね、最高!」
「では、失礼します」
軽くお辞儀をして、次の扉に向かいます。とにかく、勝ててよかった。ホッとしました。最初から切り札を出してスピードで押し切る作戦で正解でした。私の草タイプ達は、寒さに弱い。長引けば長引くほど不利です。
ブーバーは、前のトレーナーの手持ちです。同僚だった事になりますね。実験の後、最初は混乱していましたが、今は良く言うことを聞いてくれる、頼りになる私の手持ちの殿です。
次の扉を開けましたが、あれだけ大きく響いていた歓声が聞こえません。客もほとんど居ません。居る人もどんどん帰っていきます。……という事は、戦いは終わったのでしょうか?
部屋の奥には四天王のシバが岩の上に座っています。岩に両手をついて、何やら呟いています。とても勝った人の態度には思えません。誰かにコテンパンにされたのでしょう。戦いもきっと、とても早くに終わってしまって、だから観客の姿も少ないのでしょうね。シバと話す事もありませんし、さらに次の扉に進みます。
そこでは、アポロさんが四天王のキクコと戦っていました。少し、苦しそうな顔。心配です。
「終わったか。勝ったか?」
「あら、ミュウツー。なんとか勝ちました。そちらは?」
「フッ。全部一撃で終わらせてやった」
なるほど、シバを倒したのはミュウツーのようです。得意げに鼻で笑っています。ミュウツーのこういう所は少し子供っぽくて、可愛いですね。
「こちらのお部屋は、どんな様子ですか?」
「五分五分だな。
私が入った時にはマタドガス同士の戦いをしていて、負けていた。その後はブーバーがマタドガスを倒して、アーボックとの戦いになったが負けた」
アポロさんはブーバーの次はマルマインを出して指示をしているようです。かみなりを放ち、アーボックを倒しました。
フィールドの隅の、戦いが見えるところに、ミュウツーと2人で腰掛けました。
「アポロさーん!!頑張って下さーい!!」
アポロさんは気づいてこっちを見ましたが、とても嫌そうな顔でした……。
~ 31/45 ~