進メ、我ラ火ノ玉

鐘屋横丁

     

「席を移動しましょう。
 ……ああ、テレビの前の皆様に語りかけるサカキ様のなんと優しげなことか……」
「途中で乱入した刺客、許せませんね。万死に値します」
 そんな会話をしていたら、背後から聞き覚えのある声が聞こえてきました。
「マイム。無事だったか」
「ミュウツー! そちらこそ、無事で良かったです……! こちら、普段はジョウトをまとめていらっしゃるアポロさんです」
「初めまして、ミュウツー。噂は聞いていますよ。ご一緒出来て嬉しいです」
「うむ。私もだ。もうすぐ、サカキ達がやってくる」
「まあ! 喜ばしい情報ですね、アポロさん」
「な、何故私にふるのです。サカキ達がいらっしゃる事はすなわち作戦が始まるという事。しっかりしなくては」
 そう言いながらアポロさんはとても嬉しそうです。身だしなみを整えて、何度も咳払いをしています。
「……人間の言葉で、何と言うのだったかな。「嬉しいと顔に書いてある」か」
 ミュウツーがにやりと笑うと、アポロさんの顔が少し赤くなります。
「こら! ミュウツー!」
 そして、そんなやり取りをしていると……、
「ロ、ロケット団だー!」
「きゃああああああ!」
 周りの皆さんの悲鳴とともに、いつもより少し多い下っぱ達が入ってきます。そして、その中から教官殿を従えて、我らがサカキ様が登場します。
「サカキ……」
「サカキ様!」
「ご機嫌麗しゅうございます、サカキ様」
「うむ。皆息災で何よりだ。これより我々は、四天王の元へ進軍する。準備は良いな」
「万全だ」
「ははっ」
「全て整ってございます」
 三者三様の返事を返します。さあ、いよいよです。下っぱ達を置いて、私、アポロさん、ミュウツー、教官殿、サカキ様の5人で中央の扉の中に入ります。


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