3人は逃げようとはしなかった。ニヤニヤと気持ち悪い笑いを浮かべている。一番大柄な男が喋り出した。
「さっきのうぜえ鳥ポケモンはお前のか?」
「何の用だ? 無理すんなよ、オッサン」
「そうそう。こっちはこれからお楽しみなんだ。邪魔しないでくれ」
「そうか。すまないが、君たちにそれは出来ない」
「はあ?」
男達は、まだ不快な笑いを浮かべている。
団員達も車を降りた。
「あっ……! ロケット団!」
「どうしてこんな所に!?」
余裕を見せていた男達が、団員の制服を見た途端に狼狽える。
「私が出るまでもないだろう。お前達、行けるな」
「はい!」
「お任せ下さい」
2人の士気は高い。目は、闘志に燃えている。
「行け、ユンゲラー!」
「ゴルバット!」
団員達がポケモンを繰り出す。どちらも、よく育て上げられているのが見て分かる。
「サ、サンドパン!行け!」
「クサイハナ!」
「ニョロボン!」
男達もポケモンを出してくる。2対3だが、問題はないだろう。
「あやしいひかり!」
ゴルバットが、技を繰り出す。いい選択だ。相手の3体は全て混乱状態に陥った。足はふらつき、誰を攻撃すべきかを見失っていた。男どもも指示を躊躇っている。
「サイケこうせん!」
すかさず、ユンゲラーが技を続ける。相性も悪くない。虹色の光線が敵を貫いていく。
1体、また1体と相手が倒れていく。
「良くやった」
「教官殿に毎日、しごかれてますからね」
「これでも、きっとダメ出しがありますよ」
2人はにやりと笑う。
「ひいい! お助けを……」
「もう、もうしません!」
男達は慌て出した。ポケモンをボールに戻し、隠すようにして持っている。
「ほう。もう、と言ったか」
前へ踏み出す。ざり、と土を踏む音が鳴った。
「初犯ではないな? 悪い奴らだ。使ったのは、クサイハナのねむりごなだろう。ポケモンを悪事に使うなど、全く恐ろしい事だな」
ボールから、ニドキングとサイホーン、サイドンを出す。
「あっ」
手持ちを見て、男の1人が声を出す。
「あんた、知ってる……この間テレビに出てた、最強のジムリーダー。なんで、ロケット団なんかと一緒に」
「君は知らなくてもいい事だ。さて、今ので尚更帰すことは出来なくなったな?」
「ひっ」
男達が震え上がる。
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