……そうして、夜を迎える。
アタシ達は、決して男女の関係ではなかった。お互いを好きだと言ったり、そういったやり取りは一切しなかった。奴に、昼間のうちにそんな様子は全く見られなかったし、アタシもそんな事は考えて居なかった。でも、どちらからともなく——抱き合った。最初に夜を共にした時に、呆気なく一線は越えてしまった。
……奴と過ごす夜は、情緒もへったくれもないものだった。ただの求め合いだ。言葉も少なく、獣のように互いを欲して交わっていた。時にはシャワーも浴びずに始まる時もあった。終われば、いつものような会話を交わす。何事もなかったかのように。それが、心地良かった。面倒な事もなく、さっぱりとしていて良い。回数も、前戯の長さも、絶頂までの時間も、何もかもがちょうど良かった。身体の相性が良いのかもしれない。
終われば奴は、煙草を吸った。安っぽい銘柄の匂い。嫌いじゃなかった。それに包まれながら眠りに落ちる。それがいつもの夜の終わり方だった。
「ヘイ! ユーがチャレンジャー? ここまで来たチャレンジャーは久しぶりネ!」
「負けないよ! さっさと始めようじゃないか!」
バトル場に立ち、ポケモンを繰り出す。
「そらっ! マンキー!」
「GO! ピカチュウ!」
「マンキー、みだれひっかき!」
「させないネー。でんきショック!」
マンキーが間合いに入る前に、ピカチュウの電撃が炸裂する。マンキーは技を当てる前に、倒れてしまった。
「くっ……」
「モニターでユーの戦いは見てたヨ! 同じ戦法は通用しないネ」
マンキーを、ボールに戻す。相棒が、早く出せと、ボールの中でカタカタと催促する。分かってるよ。思いっきり、暴れておいで!
「サンドパン! きりさく!」
ボールから出たサンドパンは、一気にピカチュウに飛びかかると、自慢のツメで技を出した。いい当たりだ。ピカチュウはよろめいた。
「NO! ピカチュウ、逃げ——」
「逃がさないよ。どくばり!」
サンドパンはくるりとピカチュウに背を向けると、背中のトゲでぶつかった。キツい一撃に、ピカチュウは耐えきれず倒れた。
「Oh……キミのサンドパン、とっても強いネー。ミーのエレクトリック・ポケモンに負けないスピード!
さあ、レッツゴー、ライチュウ!ミーのとっておきデース!」
マチスはピカチュウを戻し、ライチュウを繰り出した。
ライチュウも、素早いポケモンだ。なるべく近寄りたいが、そう簡単に許してくれる相手だろうか。
「ライチュウ! スピードスター!」
星型の光線が飛んでくる。少し食らいはしたが、小さい当たりだ。まだまだ、いける。
サンドパンは、真っ直ぐにライチュウへと向かっていった。お得意の電気攻撃は、サンドパンには効かない。相手も、近接格闘に持ち込んでくる構えを見せた。そうとなれば、出す技は、もう決まっている。
「練習したとっておきの一撃、いくよ!
じしん!」
サンドパンの一撃が、ジムの地面を大きく揺らした。
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