果てへの航路

鐘屋横丁

     

 女が、口を離した。
「お願い、早くちょうだい……わたし、どうしたんだろう、もう耐えられなくて、自分が自分じゃないみたい」
 髪が乱れている。息が荒い。抱きしめた。早いリズムの、鼓動が聞こえる。
「よし。わかった。上手にねだる事が出来たら、入れてやろう」
 それを聞くと女は、あちこちに口づけてきた。額。頬。唇。首筋。そして、ぎゅう、と音がしそうなくらい抱きしめられた。
「欲しいの。あなたが、欲しくてたまらない。激しく、して欲しい。壊れてしまっても、構わない……」
 女は絞り出すように、残った理性のかけらで少しずつ言葉を紡いでいた。
「よし」
 女の、頭を撫でる。
「いいだろう。遠慮はしない。後ろを向け」
「はい……」
 女が後ろを向く。四つん這いになる。
 女の秘所は、もう何もする必要がない程濡れていた。避妊具を付けて、一気に女の奥まで入り込んだ。
「あぁっ……!!」
 女の身体が、快感に震える。腰を打ちつける。
「どうだ。欲しいモノは、これだろう」
「はいっ……! 嬉しいです!! もっと、もっと……下さい……!!」
「ダメだな。激しくするかどうかは、俺が決める。その気に、させてみろ。回らない頭でよく考えてみせろ」
 腰を打ちつけるペースを、少し落とす。
「はい……! あっ、もっと、もっと……! 突いて、ください……! 止めないで、お願いします、サカキ様……」
「……」
 懸命にねだる声を聞くと、興奮する。より深くまで、突いた。本当は自分も、ギリギリだった。全身が熱い。今すぐ理性を捨ててしまいたかった。
「あぅ……!あっ、イッちゃいます……!」
 女は、泣きそうな声になっていた。
「ああ。いいぞ……好きなように、イけ」
「はい……!」
 女の膣が、締まる。どくどくと脈打つ。はあ、はあと大きな息をしている。


~ 9 ~