果てへの航路

鐘屋横丁

     

「どれくらいで、効果が出るの」
「すぐだ、とは聞いたな。とりあえず、シャワーを浴びようか」
 風呂場へ向かった。いつものように身体を洗っている時、それは唐突に始まった。
「……」
 下半身が、熱い。明らかに熱を持っている。自身が、すでに猛り立っている。明らかに、薬の効果だろう。ふと振り返って、女を見た。目がもう既に、とろんとしている。どこか恍惚とした表情だ。身体をもじもじとさせて、こちらをじっと見ている。
「大丈夫か」
「大丈夫じゃないです……身体が、もう、言う事を聞かなくて」
 ふらふらと、こちらに近寄る。抱きつかれた。身体に舌を這わせてくる。舌をそのまま、下へ。固くなっている自身を舐められる。口に含まれて、手で扱かれる——
「ああ、待ってくれ。ベッドに戻ってからゆっくりしようじゃないか」
「ううん……もう我慢できなくて……あなただって、こんなになってるのに…….」
 女はもう、うっとりとした表情だ。少しも止める様子はない。
「それは、そうだが……まず身体を流そう。
 さあ、流してあげるから」
 不服そうな女の身体をシャワーで流す。今夜は、どうなってしまうのだろう。女の豹変ぶりに驚いている。
 身体を拭いて、裸のままベッドの中に入った。女も、ゆっくりと続く。部屋の灯りを暗くした。
 女が、また抱きついて来た。唇を寄せてくる。受け止めた。すぐに、舌が入ってきた。激しく舌を絡めてくる。こんなに情熱的だった事が、あっただろうか。口から涎が溢れる。それを、女が舐めとる。また絡め合う。
 身体が、熱い。頭に靄がかかったように思考が鈍る。自分にも、確かに薬は効いているのだ。せめて自分だけは理性を保っていようという思いと、そんな物は捨ててしまえという思いが、せめぎ合う。


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