甘味と、もどかしさ

鐘屋横丁

     

「はい。サカキ様」
「うむ。悪くない、……」
 名前を呼ばれた。それだけで、なんだかどきどきする。こんなにときめくなんて、知らなかった。
 少し、激しくなった。快感で脳が溶けてしまいそう。きっと自分の顔は蕩けきっているだろう。
「サカキ様、あぁ、サカキ様」
「……、……」
 また、キスが降ってくる。我慢出来なくて、自分から舌を出した。彼の首筋に両手を回す。激しく、舌を絡め合った。舌の柔らかさが快感を生む。伝えきれない気持ちを、感じて欲しくて、舌を動かす。胸が、どきどきする。もう限界が近い。身体が震えるのを感じる。唇を離す。
「はぁ、もうダメです、イッちゃう……!」
「む……いいぞ、好きなようにイけ。俺も、もうすぐだ」
「はい……好きですっ、サカキ様の、ぜんぶが」
 言えた。呂律も殆んど回ってないけど、言えたんだ。満足感とともに、……絶頂した。
「すまない。このまま動いて、いいか。もう、俺も近い」
「は、い……」
 イッた直後は、やはり身体は敏感だ。それでも耐えた。自分の中のモノが、先ほどより大きくなっているのを感じる。
「ああ、いいぞ、……。出すぞ」
 また、名前を呼ばれた。胸がときめく。彼は何度か激しく突き、そして果てた。


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