甘味と、もどかしさ

鐘屋横丁

     

 首筋を、舌が優しく撫でてくる。身体が、ぴくりと反応してしまう。
「……っ」
「だいぶ、いい反応をするようになったな」
 そう言われると、恥ずかしい。胸が、またどきどきする。バスローブを脱がされた。両方の胸を、優しく揉まれる。唇を、右手の親指でそっとなぞられた。それだけで、ぞくっとした快感が身体を走る。
 そしてまた、触れるだけのキス。今度は長かった。柔らかい、唇の触感。静寂の中で、自分の胸の鼓動を感じる。
 唇が、動いた。わたしを欲するように、動く。舌が、わたしの唇をそっと舐めてくる。ゆっくりと、口の中に舌が入って来た。迎えるように、舌を出す。絡めあった。
 ……いつもより、激しくない。いつもはもっと、息が出来なくなるまで追いつめられる。優しくするって、こういう事なのかな。いつまでも、こうして絡めあって居たいような気分になる。
 しばらくして、唇が離れた。また、優しく胸を揉まれる。両手で、先を摘まれた。思わず声が出る。
「あっ……!」
 そのまま、右も左も、先端をくりくりと弄られている。気持ちいい。耐えられなくて、身をよじってしまう。いつもなら、それも許してもらえない。きつく抱きしめられて、言葉で責められる。
 胸に、舌が這ってきた。ゆっくりと動いて、左の先端を舐められた。また声が出てしまう。
「っ……あぁ……ん……」
 身体が、びくびくと反応してしまう。はしたない声が、漏れ出てしまう。やっぱり、胸はだめだ。弱いのかもしれない。
「いいか。俺がこうする時は、俺の頭を抱きしめて、支えろ」
「は、い……」
 言われるがまま、両手を伸ばす。頭を抱きしめる。
「いい子だ」


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