その後はレストランで食事をして、いつものホテルの部屋に入った。今日も外は寒かった。お風呂にお湯を張る。身体を洗って、湯船に浸かった。
「……今日は、キミが居てくれて良かった。一人だったら、また研究所に行くところだった」
「今は、なんの研究をしてるんですか?」
「化石から、ポケモンを復元する実験だ。下準備に随分と時間がかかった。先週、やっと上手く行ったんだが、今度は成長が遅いと言う事で、促進剤を入れるか、入れないとか、そんな話をしている。
……あそこは、薄暗くて、科学者達もどこか陰気くさい連中が多い。あまり、長居したくない」
そう言って、目頭を押さえる。……疲れてそう。研究所って行ったことないけど、そんな場所なんだ。
「そうなんだ。マイムさんが心配してたよ、ちゃんと寝てますかって」
「そうだな。あまり寝ていないかもしれない。研究論文を持ち帰って読むのは控えるか」
「その方がいいと思います」
「うむ。しかし、意外だったな。マイムがキミと菓子作りとは」
「マイムさん、とっても優しく教えてくれました」
「変わったな、あいつも。仕事人間なのは変わらないが、前は無味乾燥というか、まるで面白みの無い奴だった。随分、人間らしくなった」
「へえ……。全然、想像できないや」
お風呂から上がって、バスローブを着た。ベッドに横になる。
ふいに、頭を撫でられた。
「今日は、とびきり優しくしてやろう」
そう言って彼は部屋の明かりを、暗くした。
「はい……」
どきどきする。どんな風に、されちゃうんだろう。考えてる暇はなかった。顎を掴まれて、身体は抱き寄せられた。優しく、額にキスをされた。その次は、頬に。そして唇に。触れるだけのキス。ちょっと、もどかしい。
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