そして、13日がやって来た。材料を買い足して、ラッピング用品も買った。マイムさんのお家へ行く。また、優しく迎えてくれた。
「こんにちは。今日も頑張りましょうね」
「はい! お邪魔します」
手を洗って、台所に立つ。下準備を進める。マイムさんは、優しく見守ってくれてる。計量が終わると、マイムさんが計りを手に取った。
「今日は、私も作ります。見ていたら、久々に何か作りたくなって。教官殿の分も作りますよ」
「わあ! 楽しみです」
自分の作業を進めながら、横目でマイムさんの様子を見る。バターと、卵と、はちみつと……。何が出来るんだろう。
「ふふ、何を作ってるかわかりますか?」
マイムさんが手に持ってるのは……しょうが? お菓子に入れるんだ。お料理に使うものだとばっかり思ってた。すり下ろして、汁を生地に入れている。
「ジンジャークッキーです。美味しいですよ」
初めて聞いた。でも、とっても美味しそう。というか、マイムさんの作る物は美味しいに違いない。生地をラップに包んで、冷蔵庫に入れている。しばらく寝かすみたい。
わたしの方は、あとは焼くだけ。混ぜるところまでは順調に出来た。型に生地をスプーンですくって入れる。少し緊張する。でも、この間より綺麗に入れられた。
「よし、と……」
「予熱は済んでますよ。さあ、焼きましょうね」
マイムさんが型を並べたトレイをオーブンに入れてくれた。ちゃんと焼けるかな。ここまで来たら、焼き上がるのを待つだけなんだけど、なんだかそわそわしてしまう。後片付けをして、洗い物をした。マイムさんが、また美味しい紅茶を入れてくれた。
「さあ、また面白い話を聞かせて下さいね」
「はい! どこまで話しましたっけ……。そうだ、チョウジのアジトに行って、その後は湖に行ったんです」
また、旅行の話をした。湖の話。ヤミカラスの話。宿の話。次の日の、焼けた塔の話。スズの塔の話。キキョウシティの話。スイクンの話。
マイムさんは、聞き上手だ。上手くまとまってないわたしの話をニコニコしながら聞いてくれて、時々楽しそうに笑ってくれる。
「まあ。伝説のポケモンを捕まえたんですか?」
「はい、なんとか。気難しい感じがして、全然なついてくれないんですけど、一応命令は聞いてくれます」
「素晴らしい事です。サカキ様も、たいそうお喜びになったでしょう。さすがは教官殿、捕獲の腕前も一流とは」
「えへへ、ありがとうございます」
~ 9 ~