綺麗なお部屋だった。お掃除が行き届いているのが分かる。観葉植物が鉢に入って何個か置いてある。アロマかな、ふんわりといい香りがする。
洗面所を借りて、手を洗った。やっぱり綺麗。鏡もピカピカに磨かれていた。
「さてさて。何を作るんですか?」
エプロンを着けながら、マイムさんが聞いてきた。
「マフィンを作ろうかと思ってます」
「いいですねえ! 初心者でも作りやすいと思いますよ。まずは、計量からですかね。計りを出しましょう」
マイムさんが、小さいデジタルの計りを取り出してくれた。昨日買った本を取り出す。材料を、レシピの上から順に計っていく。
「これで、終わりですね。では、下準備から行きましょうか」
「えっと、まず、バターと湯せんで溶かしておく。牛乳とチョコレートを合わせて湯せんにかける……湯せんってなんですか?」
レシピを読み上げる。早速、わからない言葉が出て来てしまった。
「ボウルを外側からお湯で温めて、ゆっくり溶かす事です。お湯、沸かしますね。他に下準備はありますか?」
「あとは、薄力粉とベーキングパウダーとココアを合わせてふるっておくことと、オーブンを180度に予熱すること……」
「ふるい器というものがあります。これに材料を入れて、下にボウルを置いて、ふるい器を片手で持って……こうやって、シャカシャカと動かすんです。湯せんが終わるまで、こっちをやってみましょう。オーブンは、設定しておきますね」
「はい!」
言われた通りにやってみた。粉が細かくなって、少しずつボウルの中に落ちていくのはなんだか楽しかった。
マイムさんは、湯せんの準備をしてくれた。バターを小さく切って、ボウルに入れる。板チョコを割って、牛乳の入ったボウルに入れていく。その下に、お湯を入れたボウルをそれぞれ敷く。
「溶けるまで、少し待ちましょうね。どっちも、すぐ溶けますよ」
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