マイムさんおすすめの洋食屋さんは、可愛い外観をしていた。オレンジの屋根、黄色い壁。立てかけた黒板に、カビゴンのイラストとランチメニューが丸文字で書いてある。
中に入る。インテリアに拘ってる感じの、おしゃれで綺麗な店内だった。あちこちに植物が置いてある。お店の奥の、窓のある席に通された。
メニューはどれも美味しそう。採れたて野菜とか、オーガニックとか、なんだか身体に優しそうな言葉が並ぶ。
「ご注文はお決まりでしょうか」
「決まりました?」
「はい! わたし、このベイリーフランチで」
「私はマグマラシランチをお願いします」
「かしこまりました」
店員さんが、お水を置いて去って行った。
「それで、お話というのは?」
マイムさんが、優しく切り出してくれた。
「はい。お料理って、しますか? マイムさんって、何でも出来そうだから」
「料理ですか。ふむ、まあまあ好きな方ですね。人並み程度ですが……」
「じゃあ、お菓子は? 作った事ありますか?」
「何回か、ありますよ。甘いものは好きですので。……それが相談ですか? そういえば、もうすぐバレンタインデーですねえ。読めてきましたよ」
マイムさんが、いたずらっぽく笑う。
「そうなんです。わたし、何か作ろうと思ってるんですけど、お菓子って作ったことなくて。
昨日、試しに作ってみたんですけど、美味しくなくて……」
「あらあら。何を作ったんですか?」
「チョコクランチです。
レシピにはシュカのみって書いてあったんですけど、無くって、それでモモンのみを使ったら、なんか変に甘くなっちゃって」
「そうですねえ。慣れるまでは、代用品を使うのは避けた方がいいかと。
シュカのみでしたら、大きいスーパーにならあると思いますよ。タマムシデパートに行けば、きっとあります」
的確なアドバイスだった。マイムさんは、やっぱり頼りになる!
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