西へ/北風を追う

鐘屋横丁

注意書き

前回の後編になります。
ゲーム内細部設定の違いはご容赦ください(覚える技、生息地等)。
名前ありオリ幹部が一人います(#3〜 マイム)。
◆簡易あらすじ:トキワジムで最後の戦いに敗れたサカキだったが、少女はロケット団の解散は望まなかった。少女はロケット団の戦闘教官となり、世界征服の野望達成のためサカキ、マイムらと共に邁進する日々を送る。
ある日、ジョウト地方のロケット団支部に視察に行く事になった少女とサカキ。支部に現れた侵入者とのバトルや、野生のヤミカラスのバトルを経て、長い一日が終わったのだった。

勝利の鍵は

     

 煙草に、火をつけた。
 爽やかな、目覚めだった。久しぶりに、深く眠ったような気もする。窓の外には、この街の観光名所であるふたつの塔が見える。空は少し雲が多いが、降りはしないだろう。
 女は、まだ夢の中だ。愛らしい寝顔をして、布団に包まっている。
「……」
 昨夜の事を思い出す。このまま、この女に、溺れていてもいいのか。決して、幸せな未来がある訳ではない。女にとっては、茨の道だろう。それでも、ついて行くと言うのだろう、きっと。それを止める事は、もう出来ないでいた。女にも、覚悟があることは分かっている。
 自分が、女に、してやれる事は何だろうか。こうして、恋人の真似事をする事くらいだろうか。何か望む事があれば、出来るだけ叶えてやりたい。
「……」
 煙草を、灰皿に押しつけた。そろそろ、朝食の時間だ。女を起こすことにした。
「そろそろ、起きたまえ」
「ん……」
 声をかけると、もぞもぞと動き出す。時計を見て、焦った様子を見せた。
「わっ。朝ご飯来ちゃう。……おはようございます」
「はい、おはよう。よく眠っていたな」
「うん。いっぱい寝ちゃった……準備します」
 女は立ち上がり、部屋を出た。顔を洗っているのだろう。洗面所から水音が聞こえる。
まもなく、朝食が運ばれてきた。


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