勝利の鍵は

鐘屋横丁

注意書き

そこまで大きなズレは無いと思いますが、覚える技や特性等のゲーム設定との違いはご容赦ください。
名前ありオリ幹部が一人います(#3〜 マイム)。
◆簡易あらすじ:トキワジムで最後の戦いに敗れたサカキだったが、少女はロケット団の解散は望まなかった。少女はロケット団の戦闘教官となり、世界征服の野望達成のためサカキ、マイムらと共に邁進する日々を送る。

勝利の鍵は

     

 日が落ちるのが、早い。その分だけ、物思いにふける時間が増えている気がする。悪い事では無いだろうが、自分が歳を取ったと感じるのもやはりこの季節だ。
「……」
 そっと、訓練所のバトル場に入る。陰から眺めていたい気分だった。女は、教官として良くやっているようだった。最初の方は、面白く思わない者も居たようだが、実力を示すと押し黙った。教え方も、悪くないようだ。決して手を抜かない。時にはかなり厳しいと聞く。鬼教官だ、とぼやく団員を見た。
 少し近寄る。声が聞こえる距離になった。
「では次!」
 場には、女のニドクインと、団員のものであろう、ユンゲラーが出ていた。……相性は、かなり悪い。どう出るのか。
「試合開始」
 判定マシンのブザーが響く。先に動いたのは、ユンゲラーだった。
「サイケこうせん!」
 ニドクインは、その場を動かない。避けられないのではなく、受け止めてやろうという表情に見えた。女も特に焦った様子はない。
 光線が、ニドクインを直撃する。ダメージは確かに通っている。耐えているのだ。少しずつ、ニドクインが後ずさる。やがて、ユンゲラーの攻撃が終わった。
「みだれひっかき!」
 すかさず、指示が飛ぶ。ニドクインが動く。かなり——疾い。
 自分のニドクインも、これ程動けるのか。少し、劣るかもしれない。いつかは戦わせたいものだ。
「ユンゲラー! テレポートで逃げろ!」
 団員が指示するが、間に合わない。ユンゲラーの反応が、少し遅い。ニドクインの爪が、ユンゲラーを襲う。だが、浅い。次の指示が飛ぶ。
「ニドクイン、かみくだく!」
 かなり接近しないと当たらない技だが、十分だった。逃げようとするユンゲラーの腰の辺りに、ガブリと噛み付いた。
「ユンゲラー 戦闘不能」
 判定マシンが、試合の終わりを告げる。団員がユンゲラーをボールに戻した。


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