それぞれの夜/ずっと一緒

鐘屋横丁

注意書き

アニポケありがとうございました!!!
録画した最終回と音楽祭を何度も見ては泣いています。
大好きなロケット団CP3組(コジムサ、コサヤマ、サカマト)でそれぞれの「初夜」を書きました。
同じ人間が書いてるので、表現など似通ってしまう所はあると思いますが、それぞれのCPの違いが表せてたらいいなと思います。
ロケット団よ永遠に!サカキ様ばんざーい!
コサヤマのみ前作(きらきら星)がありますが読んでなくても読めます。

それぞれの夜/ずっと一緒

     

 
 緊張なんて、今更しないわよ。オトナだもの。相手は仕事で長い間組んだパートナー。ふたりの間に、知らない事なんて殆どない。でも、あんまりプライベートの話はしてこなかったから、恋人の話だとか、こういう経験の話はした事ない。
 ……緊張なんて、しないわよ。ウソ。緊張してるわ、私。胸がドキドキする。
 
 ある日突然、ムサシ達がやってきた。不思議な事もあるものねと思っていたら、コサブロウから電話がかかってきたの。しばらく会えなくて、どうしているのかいつも気にかけていたから、嬉しかった。お店まで来てくれて、一緒に食事をしたわ。しばらく話していたら、彼は言ったの。
「ヤマト。きみを、愛しているんだ」
 びっくりした。でも、とても嬉しかった。ずっと思っていた事をコサブロウに言われるなんて、夢みたいだと思った。
「コサブロウ。ひとりに、ならないで」
 それが自分の返事だった。自分も同じ気持ちである事を、きちんと伝えたつもり。
 でも、言葉だけじゃ分からない事もある。例えば、覚悟とか。だから私からキスしたの。少しはしたない行動だったかしら? 
「……ねえ、この上に私の部屋があるの」
「ああ。行こう」
 そのまま、部屋に誘ってしまった。や、やっぱり少しはしたないかしら? 別に何もおかしくないわよね……大丈夫、コサブロウだもの。きっと気にしてないわ。
 ベッドに二人で座って、もう一度キスをした。今度は長く。コサブロウの舌がそっと口の中に入ってくる。なんだか足元がふわふわするような、優しくて甘いキス。慣れてるのかしら。いいえ、こんな事を考えるのは野暮ね。
 コサブロウは私の腰に手を回して、抱きかかえるようにしてベッドに寝かせた。そして私の上に跨る格好になって、顔を寄せてくる。
 このまま、しちゃうのかしら。私たち。胸が熱くなってる。きっと顔も赤い。
「……ヤマト」
「なに?」
「シャワー、浴びてもいいか。仕事上がってからそのままなんだ」
「え、ええ、いいわよ。あっちを曲がったところにお風呂場があるわ」
「……ん」
 コサブロウは冷静ね。というか、意外と紳士なのね。自分がやっぱりはしたない存在に思えて、恥ずかしい……。
 
 ……コサブロウが戻るまで、ベッドの上で色んな事を思い出していた。コンビを組んでから私がロケット団を辞めるまでの事。辞めてから今までの事。ついさっきコサブロウと言葉を交わした事。
 いつから好きになったのかしら。もう、思い出せないくらい昔ね。ロケット団を辞めるその時も、想いは伝えられなくて、心の中にしまったままだった。このままずっと、伝えずに終わる。そう思ってた。
「シャワー、ありがとう。助かった」
 コサブロウが戻ってきた。下着姿だ。それなりに鍛えられた身体につい目が行ってしまう。結構いいじゃない……。タイプかも。
「私も浴びるわ。待ってて」
 胸のドキドキを抑えながらシャワーを浴びた。これから、あの身体にどんな風に抱かれるのかしら。考えるだけで頭が沸騰しそうだわ。変な声とか、出さないようにしなきゃ。ああ、ずっと一緒に居たのになんでこんなに緊張するのかしら。今から違う人に会いに行くような気分だわ。
 バスタオルで前を隠して、コサブロウの待つベッドへ戻った。
「お待たせ」
「……ん」
 コサブロウも緊張してるのかしら。なんだか、表情が固い。
「……電気、消してもいい?」
「ああ」
 部屋の電気を消して、ベッドへ向かった。窓から入る月明かりだけが、私達を照らす。
「ヤマト」
「な、何、コサブロウ」
「緊張、してないか」
「しないわよ、今更。私達コンビ組んで長いじゃない。そう言うコサンジこそ、緊張して」
「俺はしてるよ」
「……」
 コサブロウは真っ直ぐに自分の目を見つめてくる。やだ、そんな切なそうな顔をしないで。綺麗な瞳を涙で湿らせないで。胸がドキドキしちゃうじゃない。
「ヤマト。好きだ」
「私も好きよ、コサブロウ」
「ああ。同じ気持ちになれたのが、とても嬉しい」
 コサブロウは私の身体をひょいと持ち上げると、ベッドに寝かせた。さっきと同じように私の上に跨って、顔を寄せてくる。
「ヤマト……」
 今度は優しく微笑まれた。ずっと一緒に居たのに、見た事ない表情ばかり今日は見る。素敵な笑顔。ねえ、私以外の人の前でそんな顔しちゃダメよ。
 キスが降ってきた。額に、頬に、唇に。少しだけ吸うように口付けられて、すぐに首筋に。あなた、ベッドの中だとこんなに優しいのね。ガチガチになっていた心が安らいでいくのを感じる。
「これ、取るぞ」
 バスタオルを取られた。胸が露わになる。少し、恥ずかしいわ。
「綺麗だ、ヤマト」
「……ありがと」
 また、優しく微笑まれる。私は上手く笑えてるかしら? きっと、不器用な笑みをうっすら浮かべている。醜いわね。ごめんなさい、強がってばかりの女で。
 コサブロウが胸を丁寧に揉みしだく。先端を吸われて、舐められる。大きな手。温かい口の中。だめ、気持ちいい……。
「あんっ、あぁ……。ふあ、あぁん……」
 思わず声が漏れる。コサブロウの動きが一瞬止まって、それからはもっと激しくなった。
「はぁっ……ん、あぁ……」
「ヤマト、可愛いな。もっと声出して」
「そんな……恥ずかしいわ……」
「大丈夫だ。笑ったりしない」
 そう言って今度は少し、イタズラっぽく笑う。私の大事なところにコサブロウの指が伸びていく。
「んっ……」
 長い指で、ゆっくりと輪郭をなぞられる。ちょっと、くすぐったい。既にぐっしょりと濡れているのが自分でもわかる。
「これなら、すぐ入りそうだな」
「……」
 恥ずかしさで声も出ない。いつもこんなに濡れる訳じゃないわ。コサブロウ、あなただからなのよ。分かってくれるかしら……?
「ちょっと待っていてくれ」
 そう言うと自分の脱いだ服のポケットから避妊具を取り出して、着け始めた。準備がいいのね。もしかして、ここに来る前から私を抱くつもりだったのかしら。コサブロウも私とこういう関係になりたかったって事よね。なんだか嬉しい……。
 ひとりになっていたのは、私の方なのかもしれないわね。
「よし。……痛かったら、言ってくれよ」
「ええ。来て、コサブロウ……」
 コサブロウが、ゆっくりと私の中に入ってくる。全然痛くなんかない。奥に入れば入るほど、気持ち……良くて……また声が出ちゃう……。
「あぁん、あっ……コサブロウ……」
「ヤマト……」
 コサブロウがゆっくりと腰を動かしながら、唇を求めてきた。受け入れて舌を絡め合う。さっきより、舌が熱い気がする。蕩けそうなキスだわ。私の身体も、どんどん熱くなっている気がする。コサブロウが突く度に、繋がっているところが切なくなって、身体がびくびくと反応してしまう。どうしましょう。すぐにイッちゃいそうだわ……。
「ずっと、こうしたかった。団員の時からずっと」
 コサブロウが動きを止めた。
「そうなの?」
「ああ。口に出したら関係が終わってしまう気がして、最後まで言えないままだった」
 綺麗な瞳が、少し遠い目をする。
「コサブロウ…….、私も同じよ」
「そうなのか?」
「ええ。最後まで言えなかった。それがずっと、引っかかっていたままだったの」
「なんだ。俺たち、一緒だったんだな」
「ええ、一緒よ」
「嬉しい」
「そうね」
 コサブロウはまた腰を動かし始めた。奥まで突かれた時が一番気持ちいい。私たち、カラダの相性も良いのかもしれない。
「いい……ヤマトの中、狭くて、あったかくて……」
 コサブロウは恍惚とした表情を浮かべている。それがなんだか色っぽくて、また胸がドキドキする。
「ヤマト……俺もうそろそろ……」
「ええ……私ももう少しだわ……」
「ああ。キス、してくれないか」
「好きなのね」
「うん……」
 またコサブロウは唇を求める。応えた。伸びてくる舌を吸って、優しく絡め合って、混ざり合った唾液を飲み込んだ。
 コサブロウが慌てた様子で口を離す。
「ヤマトっ、……イク……、イクぞ」
「ええ……私も、イキそう……」
「一緒、に……」
「あっ、あああ、イッちゃう……!」
 頭が真っ白になった。コサブロウの荒い息遣いだけが聞こえる。
「はぁ、はぁ……」
 どうやら、ほとんど同時に果てたらしい。ぐったりしたコサブロウが、私の上に倒れ込んでくる。少し、重い。でもこれが、私の好きな人の重さ。そう思うと愛しく感じる。
 
「ヤマト」
「なあに?」
「少し休憩したら、もう一回してもいいか」
「元気ね……」
「当然だ。ずっと好きだった人となら、何度だってしたい。勿論、無理強いするつもりはないけど」
「フフ。いいわよ、別に。何か飲み物持ってくるわね」
 身なりを少し整えて、階段を降りる。二人分のハーブティーを淹れて、また階段を登る。
 ああ、なんて幸せなのかしら。好きな人と夜を越えられるということは。