君を愛するということ

鐘屋横丁

注意書き

サカキ×ミュウツーです。
二人が手探りでなんやかやしながら初夜を迎える話です。
がっつりポケ姦してます。細かいところは捏造あり。

君を愛するということ

     

 興味のある人間は、いつだって一人だけだった。時間があれば、思考を覗いていた。そこには常に何らかの計算が張り巡らされていたが、無感情な訳ではなかった。世界を喰らい尽くすという大きな野望が、常に思考の真ん中に渦巻いている。むしろ感情的な方だ、と感じる。
 サカキ。自分のトレーナーにあたる、ロケット団の首領だ。人間達とポケモンを束ねて、世界を手中に収めるつもりらしい。
 初めて研究所で目を覚ました時、研究者達に混ざってサカキはそこにいた。ある日、お前は私のポケモンになるのだと直接言われた時は、素直に嬉しかった。自分が見てきた中で、最も面白そうな人間だったからだ。
 沢山のポケモンとバトルをした。負けた事はまだ無い。サカキは、いつも冷静な指示を出す。思考を覗いてみても、常に落ち着いて先のことを考えている。
 ボールの中に居る時も、退屈な時はよく思考を覗いた。そうする事で様々な情報が得られたし、段々とサカキの考えている事が分かるようになるのが嬉しかった。
 
 ……ある日、サカキは知らない女と酒を飲んでいた。そして建物の同じ部屋に入ると、二人は私の知らない行為に耽っていた。
 心臓がどきりと音を立てる。見てはいけないものを見てしまったような気がして、ボールの中でひとり葛藤した。それでも、聞き耳を立てるのをやめられなかったし、いつもと違うサカキの思考を覗き続けた。
 次の日、サカキは女より早く建物を出て、アジトに戻って行った。この日は、時間の流れが遅く感じた。ずっと昨日の事を考えながら過ごした。あれはなんだったのか。初めて見たヒトの行動だった。
 夜になって、やっとサカキは一人になった。自室のソファに腰掛けて、煙草を吸っていた。
聞くなら今だと思った。
「……サカキ。サカキ。話がある」
 テレパシーを飛ばす。サカキは気づくと、私のボールを開けた。
「ミュウツー、どうした。聞こう」
 サカキは落ち着いた表情で、煙草の火を灰皿に押しつけて消した。
「サカキ。昨日お前は、女と何をしていたのだ」
「見ていたのか、ミュウツー」
「ああ。私には、分からない行為だった」
 サカキはばつの悪そうな顔をした。
「やれやれ。最強のポケモンが覗きとは、あまり褒められた事ではないな。
あれは大人の遊びだ。セックスという。交わり合って、互いの興奮の果てに、束の間の快楽を得るものだ」


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