「ごめんなさい……私が、あんな事を言ったから」
「謝るな」
「謝らせて下さい。そんなつもりじゃなかった。サカキ様に早く、会いたくて。走ってただけです」
「……そうか」
真剣な眼差しから、少し力が抜ける。
「そうです。
サカキ様の気持ちは嬉しいです。ただ、私に自信が無くて。私なんかで良いのかなって。そう思うと、信じられなくって」
「……キミは、可愛い。仕事もよく出来る。わがままを言わない。余計な事も言わない。十分に、魅力的だ」
「そう……かな……ありがとうございます」
「どうか、分かって欲しい。いや、今日は分からせる」
「!」
そう言うと、再び唇を塞がれた。また、舌を絡ませて来る。さっきより激しい。両腕で、しっかりと抱きしめられた。きついくらい。唇から注がれる不器用な愛を、全身で受け止めている気分だ。
唇が離れる。口の周りはすっかり唾液に濡れてしまった。その後は首筋、胸へと舌が降りていく。感じる所を刺激されると、身体がビクリと反応してしまう。すると、そこを何度も繰り返して責められる。また感じてしまう。身体の反応が、治まらない……。
少ししてから、サカキ様が口を開いた。
「もう、入れてもいいか。今日は何も我慢が出来そうにない」
そう言いながら、私の秘所に触れてくる。激しい責めに感じてしまって、そこはもうすでにぐっしょりと湿っていた。
「あぅっ……私ももう……」
「準備は出来ていそうだな」
カサカサと音がする。避妊具を着ける音だろう。
「いいか。今日は止めろと言われても止めはしない。お前の身体の全てに、私を刻みつけてやろう」
「はい……」
頭が、ボーッとする。これからどんなふうになってしまうのだろう。自分の中に、確かに期待の気持ちがある。ごくりと生唾を飲み込んだ。
「入れるぞ」
「……っ!」
サカキ様が私の中に入ってきた。嬉しい。今日もひとつになれた。でも、そんな悦びは束の間のものだった。サカキ様が、激しく腰を動かす。押し寄せる快楽の波に飲まれてしまわないように、また両手でシーツを掴んだ。
「あぁっ……! はぁ、はぁ」
「どうだ。良いか?」
「はい……! イイです……!」
「もっとだ。もっと声を、聞かせろ」
「はい……サカキ様っ……! あぁんっ、あぁ……」
薄暗い闇の中で、サカキ様がにやりと笑ったように見えた。激しく突かれる度に声が出てしまう。声を出していると、自分がはしたない存在に思えて興奮する。
サカキ様の昂りは、大きくて固い。避妊具越しでも、熱が伝わってくる。激しく突かれると、ゾクゾクと快感が走る。
「サカキ様っ……! ごめんなさい、私もう……!」
「いいぞ。イけ。私も間もなくだ」
「はい……! あ、あぁん、だめぇ、来ちゃう……!」
「ぐっ……!」
両手でシーツをぎゅっと掴む。絶頂。その瞬間、頭が真っ白になる。サカキ様も最後にぎゅう、と腰を深く突いてきて、果てたようだった。
「はぁ、はぁ……」
荒い息をする私の頭を、優しく撫でてくれた。
「どうだ。少しは伝わったか。私の情熱が」
「はい……。分かりました」
「やれやれ、本当だといいがな。これからは、失言には気をつけたまえ」
「はい。すみませんでした」
「まあいい。喉が渇いた。私は先程の続きを飲むが、キミも何か飲み物を頼みなさい」
「はい!」
「夜は長いぞ。まだまだこれからだ」
「……はい……」
心臓がまたドキドキした。あんな激しいのを何回も、耐えられるかな。
ドキドキするだけじゃなくて、胸が熱い。サカキ様から貰った情熱がそのまま胸にあるみたいだ。私も、伝えなきゃ。胸にある熱い気持ちを。
今夜はずっと、このままだろう。季節は真冬だけど、寒さなんて吹き飛ばす、熱い夜になりそうだ。
~ 3/3 ~