【完】あなたに、おめでとう キミに、ありがとう

鐘屋横丁


注意書き

ゲーム内細部設定の違いはご容赦ください(覚える技等)。
名前ありオリ幹部が一人います(#3〜 マイム)。二人が首絞めえっちをします。

◆簡易あらすじ:トキワジムで最後の戦いに敗れたサカキだったが、少女はロケット団の解散は望まなかった。少女はロケット団の戦闘教官となり、世界征服の野望達成のためサカキ、マイムらと共に邁進する日々を送る。ある日、遂に四天王とチャンピオンを倒し、ひとつの国を手中に収めたのだった。

サカキ様が誕生日を迎えるお話です。8月がスペサカキ様のお誕生日なのは承知しておりますが、スペ要素ほとんど無いので自分で決めてしまいました。

12月26日の誕生花はサカキです。



◆表紙協力→ガバ子さん(https://www.pixiv.net/users/2015447)

【完】あなたに、おめでとう キミに、ありがとう

     

 ボンジュール! ……えへへ。これは最近教えてもらった他の国の挨拶。最近は、ほかの国に行くことも多い。困ったときは、通訳の団員さんに聞くようにしてる。
 わたしの仕事は、相変わらずボスの護衛。ボス自身が狙われる事は、国にもよるけど、無いわけじゃない。いつもベトベトンとゲンガーが守ってくれるけど、冷や冷やする。常に集中して、危ない事がないか見回してる。
 この国の制圧が終わってから、色んなことが変わった。
 まずは本拠地のお引越し。タマムシの空き地に大きいビルを建てて、訓練所も随分立派なところになった。新しく入った団員の人が多くて、毎日てんてこまい。戦闘訓練をする時、相手の名前と使うポケモンがなかなか覚えられない。
 ボスのお部屋は最上階に! でも、地下だった昔が恋しいってよくぼやいてる。気持ち分かるかも。あの煙草の匂いに包まれた、一番奥の地下室。ボスの匂いに包まれてるみたいで安心感があったな。
 あっ、ボスって言わないんだった。いや、別にいけなくはないんだけど、皆もうボスとは呼ばなくなった。閣下って呼ばれてる。カッコいい呼び方だよね。

 エレベーターの扉が開いた。閣下の部屋まで、長い廊下を歩く。カードキーを差し込む。扉が開く。
 あまり物のない、シンプルな部屋。大きな机があって、一番奥に閣下の小さい席がある。ペルシアンが床に寝転がって、むにゃむにゃ言ってる。
 中に居たのは、マイムさんとアポロさん。お互い何も喋らずに、机に向かってる。
 新しくこの部屋の常連になった、アポロさん。マイムさんもわたしも閣下のことは大好きだけど、アポロさんはきっとそれ以上だ。だから、いつも自分と閣下の事以外は何も目に入ってない。今も入ってきたわたしに目もくれず、タブレットをずっと触ってる。
「おや、教官殿」
 マイムさんが優しく声をかけてくれる。
「はい! こんにちは、マイムさん、アポロさん」
「お疲れ様です」
「……どうも」
 マイムさんは、にこりと微笑む。アポロさんは少しだけこっちを見て会釈してくれた。
 アポロさんがカントーに来た。それは本人にとってものすごく嬉しい事だって、マイムさんに教えてもらった。そのはずだけど、普段はそうは感じさせない。クールな人だ。なんとか、仲良くなれるといいな。
「ああ、ペルシアンの手入れなら終わりましたよ」
 アポロさんがタブレットから目を離さないまま、教えてくれる。
「本当ですか? ありがとうございます!」
「いえ。感謝される程の事では」
 お仕事を終わらせて、閣下の部屋に来て、ペルシアンのブラッシングをするのがわたしの日課だ。ペルシアンの身体は大きくて、けっこう大変だから、やってくれるのはとっても助かる。
「じゃあ、わたしお茶を淹れてきますね」
「助かります」
「ええ、ありがとうございます」
 2人が返事をする。紅茶を3人分、まずはお湯を沸かして、ポットとカップをお湯で温めて……。
 その時、扉が開いた。誰かが入ってくる。


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