ステージ!/踊るなら、きみとワルツを

鐘屋横丁


注意書き

サカキ×オリ主♀です ゲーム内細部設定の違いはご容赦ください(覚える技等)。名前ありオリ幹部が一人います(#3〜 マイム)。
単品で読んでも違和感のない前後編を目指しました。このあと後編が控えてます。
名前ありモブが出てきますが深く掘り下げる予定はありません。
◆簡易あらすじ:トキワジムで最後の戦いに敗れたサカキだったが、少女はロケット団の解散は望まなかった。少女はロケット団の戦闘教官となり、世界征服の野望達成のためサカキ、マイムらと共に邁進する日々を送る。

◆表紙協力→ガバ子さん(https://www.pixiv.net/users/2015447)

ステージ!/踊るなら、きみとワルツを

     

 そこは様々な人が行き交う、騒がしい空間だった。仕事でなければ、とても入れない場所だ。喜ぶ者も居るだろう。好きな者は、たまらなく嬉しいだろう。だが、残念ながら自分の興味をそそられるものではなかった。用意された椅子に座り、周りをぼんやりと眺めていた。
「緊張してます?」
 隣の男が話しかけてくる。
「多少は」
「大丈夫ですよ。なんとかなります」
 ニコリと笑いかけてくる。整った顔をしている。セットされた長い金髪は美しく、スラリとした体型に緑の衣装を着こなしている。さぞかし、人気があるのだろう。
「本番5秒前! 3……2……」
 地面に目をやる。何処からか伸びているコードが、床に模様を描いていた。ここに居るのは、自分ではない。求められるままを演じる人形——そう思う事で、緊張はだいぶ緩和した。
「お仕事からお帰りの方も、これからお休みの方も、今晩は。チカゲ・ルームのお時間です」
 隣の男が、口上を述べる。本番前は気だるげな顔をしていたが、今は凛々しい顔つきになっている。
「今日のゲストは、すごい方ですよ。カントー最強のジムリーダー、トキワジムのサカキさんです」
「今晩は」
 台本通りとはいえ、改めて言われると随分な肩書きだな、と思った。


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