月影に抱かれて、星を見送る

鐘屋横丁


注意書き

!注意!
今回は夢ではなく、今までの設定を使ったサカキ様とミュウツーのお話です。
RR団のミュウツーを見て、ちゃんと手持ちになるんだな〜と妄想しました。
名前ありオリ幹部が一人います(#3〜 マイム)。がっつり喋ります。
他モブ団員にも名前がありますが今後登場する予定は特にないです。最後ちょっとおまけがあります。

◆簡易あらすじ:トキワジムで最後の戦いに敗れたサカキだったが、少女はロケット団の解散は望まなかった。
少女はロケット団の戦闘教官となり、世界征服の野望達成のためサカキ、マイムらと共に邁進する日々を送る。

◆表紙協力→ガバ子さん(https://www.pixiv.net/users/2015447)

月影に抱かれて、星を見送る

     

 そこには、何もなかった。見える景色はいつも同じだった。光と闇。あとは、水と泡だけが、いつもそこにあった。

「……ねえ、私この子のママになってもいい? お姉さんになってもいい? 私、こんな子がいるなら生きててもいいな」
 誰かの声。誰だろう。目の前にあるのは、やっぱり水と泡だけ。
「……ここはどこ? 僕は誰? どうして僕はここにいるの?
 外で、誰かが僕のことを話している……でも、何を言っているの」
「あれってね、言葉なの。人間の」
 また、誰かの声。僕の言葉に応えてくれたようだった。
「だれ、きみ?」
「私はあなたのね、そばにいるの。すぐそば」
「すぐ、そば?」
 水と泡の他に見えるものはない。でもきっと、この外に居るんだろう。
「私は、あなたと同じみたいに生まれた人間なの」
「人間? 僕も、人間なの?」
「私たち、お話できるんだから、人間かもね。それとも、私がポケモンだったりして」
「人間? ポケモン? 僕は、どっちなの」
 話は、難しかった。会話になっていない会話が続く。よく、わからない……。
「どっちでもいい。私たちは同じような生まれ方だもん。私たちはみんなコピー。本物がいるの。だからワンじゃなくてツー。」
「じゃあ僕もツー?」
「私もツー。ほんとの名前は、アイ。でも、本当の私はアイツー。ううん、もしかしたら私はスリー。アイスリーかもね」
 名前を教えてくれた。でも、なんだか複雑だ。コピーだと、ツーなのかな。……コピーって、なんだろう。本物がいる。じゃあ僕は、ニセモノなのかな……。
 頭が混乱しそうだ。でも、あっちはなんだか楽しそう。僕と話せるのが、嬉しいみたいだ。


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