それぞれの夜/こんな僕でごめん

鐘屋横丁

注意書き

アニポケありがとうございました!!!
録画した最終回と音楽祭を何度も見ては泣いています。
大好きなロケット団CP3組(コジムサ、コサヤマ、サカマト)でそれぞれの「初夜」を書きました。
同じ人間が書いてるので、表現など似通ってしまう所はあると思いますが、それぞれのCPの違いが表せてたらいいなと思います。
ロケット団よ永遠に!サカキ様ばんざーい!

それぞれの夜/こんな僕でごめん

     

 
 どうしよう。どうしよう。胸がドキドキする。ここまで来れた自分の事は褒めてやりたいけど、ここから先へ進めない自分は本当にダメなやつだ。
 
 ムサシと付き合うようになってから1ヶ月。デートらしい事も何回かして、キスもした。それは甘い甘いキスだった。あの時もめちゃくちゃ緊張したなあ……。
 ニャースとソーナンスが寝てから、夜の散歩に行かないかと誘い出して外に出て、さりげなく近くのラブホテルに入る。完璧な計画だった。ちょっと、ぎこちなかったかもしれないけど、嫌がられる事もなくスマートに部屋まで入れた。問題はその後だ。
 ……どうすればいいか、分からない。
 いや。別にラブホに初めて来たわけじゃないし、何をするところかは分かってるけど、どう誘ったらいいものか、何も浮かばない。無理矢理押し倒すなんて真似はしたくないし、これと言って上手い文句も浮かばない。
 ベッドにちょこんと座って足を組む、ムサシの視線が痛い。
「えーと……」
「……」
「ご、ごめんな?」
 何を謝ってるんだ、俺は。雰囲気に負けて、何もやましい事は無いのに謝ってしまった。
「はあ?」
「い、いや〜。なんとなく……」
「なんとなくで謝らないでよ! 訳分かんないじゃない」
「ごめん……」
「なんなのよアンタ……急にこんな所に連れて来られて、もじもじされてもこっちが困るわよ」
 ムサシは呆れ顔だ。
「うん……そうだよな、本当にごめん」
「もう謝らないでよ」
「わかった」
「……」
「……」
 しばらく、沈黙が続く。ムサシからの視線は少し和らいだように感じる。深呼吸をした。これ以上、情けない男のままじゃいられない!
「そっち、行っていいか」
「来れば?」
 ムサシの隣に座った。
「……嫌じゃなかった?」
「別に。あたし達、もう何してもおかしくない仲でしょ? いい大人だし」
「ああ……。そうだな……」
「しっかりしなさいよ! あたしまでちょっとキンチョーしてきちゃったじゃない!」
「あはは、悪い悪い」
 自分は逆に緊張が解けてきた、なんて言ったら怒られそうだ。ムサシと喋ると、安心する。やっぱり、ムサシの事は好きだ。長い間チームを組んで、その中でどんどん好きの気持ちは膨らんでいった。顔も声も可愛いし、厳しい時も可愛い時もあるのがいい。俺は優柔不断な方だから、ムサシが色んなことをビシッと決めてくれるのが本当に頼りになる。
「じゃあ、いいんだな」
「……いいわよ、コジロウなら」
 言いながら視線を外された。顔が少し赤い。どうやら緊張してるのは本当らしい。
「服、脱いで。その服、脱がし方よく分からないから……」
「わかった。そっちも脱いでね」
「おう」
 二人で団員服を脱いで、ベッドの上に座った。水着姿とか、バスタオル姿は見たことあるけど下着姿は初めてだな。ピンクでフリフリしたレースがついてて、ムサシによく似合ってる。
「……可愛い」
「ありがと……」
 やっぱり視線は逸らしたままだ。そろそろこっちを向いて欲しいな。
「なあムサシ」
「何よ」
 ムサシがちらっとこっちに目線を向けてきた。
「キス、してもいい」
「いちいち言わなくてもいいわよ」
「でも俺、ムサシの嫌がる事したくないんだ」
「……あんたになら、何されたっていいわよ」
「本当?」
「本当よ」
 ムサシの肩を抱き寄せて、唇を重ねた。柔らかい。舌を入れて、少し動かす。ムサシの反応を確かめたかった。そうしたら、すぐに舌が応えてきた。しばらく夢中で絡め合った。まだキスしてるだけなのに、もう2人はひとつになったような気がしてきた。温かくて気持ち良いし、何よりムサシが嫌がってないことが嬉しかった。
 どちらからともなく、唇が離れた。
「ムサシ……好きだ、好き」
 口から出たのは縋るような声だった。締まらないな、俺。でもいい。とにかく、俺はムサシの事が好きなんだ。
 ムサシをぎゅうと抱きしめた。
「フフッ。可愛いところあるじゃない」
 ムサシは小さく笑って俺の腰に手を回す。
「ね、コジロウ……あたしも……好きだからね」
「うん、嬉しい」
 抱きしめたムサシをそっとベッドに下ろす。ろくにリードも出来ないダメダメな俺の事を好きでいてくれてるのが、本当に嬉しい。
「じゃ、ムサシ……脱がすよ」
「いいわよ」
 胸がドキドキ言ってるのが自分でもわかる。震える指でなんとかブラジャーのホックを外した。ムサシの胸が露わになる。顔を見ると、少し恥ずかしそうだ。
 両手で胸を揉みしだいた。ずっと、こうしたかったんだ……。つい息が荒くなる。胸に顔を埋めて、深呼吸をした。
「ちょっと、くすぐったいわよ」
 ムサシは笑った。やっぱり、笑った顔が一番可愛い。胸の先端を口に含んだ。舌で舐めながら、もう片方の先端を指でいじる。
「きゃっ……あっ……あんっ……」
 ムサシが色っぽい声をあげる。そんな声聞いたら、興奮してますますいじってやりたくなる。しばらく、舐めたり吸ったりを続けた。その度にムサシは声をあげる。
「コジロッ……! そうやって……胸ばっかり……! あんっ……」
「ん? 他のところもいじって欲しい?」
「そういう意味じゃっ……」
 パンティーを脱がした。ムサシのそこは既にしっとりと濡れている。そっと指を挿し入れた。動かすとくちゅ、と音が鳴る。
「やっ……! ダメっ……!」
 奥の方に触れると、ムサシの身体がびくびくと動く。ここが弱いのかな。指を2本にして、同じところを撫でる。
「きゃあっ……! そこ、気持ちいい……のっ……!」
 少し早く指を動かした。ムサシが手首を掴んでくる。どこかに飛んでいかないように、自分の身体を支えてるように見えた。
 でも、身体は限界みたいだった。
「コジロウッ……! あたし……イっちゃう……」
 ムサシの中がギュウッと締まった。指が折れちゃいそうだ。ムサシは切なげな顔でハァハァと荒い息をしている。
「ムサシ、大丈夫?」
「平気よ……コジロウ、今度はあたしが気持ち良くしてあげる」
 ムサシが起き上がって、俺のトランクスを脱がせた。俺の股に顔を突っ込んで、躊躇いもなく咥えてくれた。敏感な場所がムサシの温かい舌に丹念に舐め取られる。このままただ快感に身を任せていると、すぐに出ちゃいそうだ。ぐっと堪える。
「あぁ……すごくいいよ、ムサシ」
 ムサシの髪を撫でる。サラサラで綺麗だ。俺の指に絡む事なく、部屋の照明を受けてキラキラと輝く。
「……」
 耳を澄ますとぴちゃ、くちゅと水音がする。ムサシが俺のを舐めてくれてる。それだけでも嬉しいのに、めちゃくちゃ気持ちいい。堪えてるけど、そろそろ限界だ。でも、今出す訳にはいかない。
「ムサシ、も、もういいよ……出ちゃいそうだ」
「うん」
 ムサシが口を離してくれた。深呼吸をする。俺、我慢しなきゃいけないのはここからだぞ。男を見せろ!
「ちょっと、待ってくれ」
 脱ぎ捨てた団員服のポケットから、ゴムを取り出した。中身を出して、身に着ける。買ったのは随分前だ。ムサシと付き合う事になってすぐ、舞い上がって買った。やっと使う日が来たんだなあ……。
「よし。じゃ、じゃあムサシ」
「うん……早く来て」
 ムサシはベッドに無防備に寝て、さっきと同じ切なげな顔をしてる。これ以上待たせる訳にはいかない。急いでムサシの中へ入ろうとしたけど、手が震えて上手くいかなかった。すっかり濡れて準備万端のムサシの入り口を、俺の分身が虚しく滑る。
「あれ……ごめん、おかしいな」
「ちょっと、落ち着いてやりなさいよ」
「ご、ごめん」
 ムサシに叱られてしまった。そうだ。落ち着こう。もう一度深呼吸をした。よし。今度は大丈夫。しっかりと湿らせて、入り口に押し当てた。そのまま、ずぶりと飲み込まれる。一気に奥まで突いた。
「入っ……た」
「うんっ……」
 ムサシの口から可愛い声が漏れる。ムサシの中はゴム越しでも気持ち良くて、すぐイっちゃいそうだ。なんとか堪えて、ゆっくり腰を動かす。
「ムサシ……ムサシ、好きだよっ……好き……」
「あたしも……好きよ……」
 嬉しいなあ。俺たち、今、身体もひとつだけど心もひとつだ。今目の前に居るのがムサシで良かった。ムサシと出会えて良かった。伝えたいけど言葉には出来そうにない。身体は限界に近くて、いっぱいいっぱいだ。
「うっ……気持ちいいよムサシ……」
「コジロウ……」
 それでも、ムサシにも気持ち良くなって欲しくて懸命に腰を振った。この時がいつか終わってしまうのが辛かった。ずっとこうしていたいよ、ムサシ。俺を受け入れてくれてありがとう。いつもグズグズな俺を愛してくれてありがとう。
「ムサシ……」
「やだ、なんで泣きそうになってんのよ」
「ごめん……俺……嬉しくて」
「やめてよ、あたしも泣いちゃう」
「ムサシは泣かないで」
 言った瞬間、自分の目から涙が溢れて、ムサシの頬を濡らした。
「ばかっ……! そんな事、言わないでよ……!」
 ムサシの目からも涙が溢れた。
 ああ。何度も思うけど、本当に嬉しいなあ。好きな人と、それもずっと長い間一緒にいた人と、これ以上無いくらい側に居られるなんて。
 いつまでもこうして居たいけど、でも、もう限界だ。情けない男でごめん。
「ムサシ、イっちゃう……! ごめん……!」
「あんたって本当にばかね……、謝らなくたっていいのよ、いっぱい、出して……!」
「うん……!」
 ムサシの笑顔を脳裏に焼きつけて、目をぎゅっと瞑る。ゴムの中に、ありったけ出して果てた。
 
「いつまでくよくよしてんのよ」
「いや……俺って早漏だなあと思って……」
「もう。いいじゃない。またすればいいでしょ?」
「確かに……」
「さ、お風呂入りましょ、お風呂!」
「うん」
 ムサシに手を引かれてお風呂場に向かった。そっか。またすればいいのか。これからは、いつでも出来るんだもんな。忘れてた訳じゃないけど、頭から抜けてた。

 ……幸せだなあ、俺。